2016年9月17日発売
対応ハード:
Windows / PS4 / PS3 / XboxOne / Xbox360
世界で一番売れているサッカーゲーム。ひとりでコツコツ遊ぶことも出来るし、オンラインで対戦なども可能。サッカーゲームのすべてが詰まっています。
Jリーグの選手も入っているということで、ウイイレではなくコチラを買ってみました。いろんなモードがあるので幅広い遊び方が出来ます。非常に完成度の高いゲームだと感じました。でもCPUとの対戦ではイカサマを使ってくるので楽しくない。イカサマを使った過剰な白熱演出が結局はゲームをダメにしています。
やや期待を裏切られたゲームです。
CPUがイカサマを使ってきます。点を取るために敵選手が全員スーパー選手になって急にすごいプレーを連発。結局このイカサマで接戦になるよう調整されいます。
さすがにインチキを使われたら気持ちが萎えます。FIFA17って本当は85点ぐらいのかなりいい出来のゲームだと思います。でもイカサマのせいで65点がいいところ。それぐらいの楽しさしか味わうことが出来ませんでした。
グラフィック面は合格点が付けられます。昔のサッカーゲームと比較するとちゃんと進歩を見せていて綺麗。そしてAIも実はそんなに悪くないです。
れび丸はひとりの選手だけを操作するスタイルが好きなのでそのやり方でプレーしてましたが、味方がちゃんとスペースに走ってくれるし、パスやドリブルも本物の人間のように理にかなった動きをします。
敵の動きも同様です。かなり複雑な動きをしてきます。AIはちゃんと進歩しており対戦相手として不足なし。
システム面もよく出来ていて、味方からパスを要求するボタンが複数あります。普通の足元へのパス意外にもスルーパスを要求したり、浮き球のロングパスを要求出来たりします。
このシステムは素晴らしいですね。選手をひとりだけ操作する派のれび丸には非常にありがたい配慮です。
サッカーゲームって味方選手を全部操作するよりは、ひとりの選手だけ操作して遊んだ方が絶対楽しいですよね。本当にサッカーをやっている気分になれます。
FWの選手を操作するときとDFの選手を操作するときでは、全然違う動きが要求されます。だから本当に全然別のゲームになります。
FWなら裏へ抜け出すタイミングを図ったり、味方が上がって来るまでボールをキープしたり。ディフェンダーなら敵の攻めに合わせてラインの上げ下げをして、味方のカバーリングもします。センターバックなどは1回のミスが命取りになるから集中力を要求されます。
選手を全部操作するスタイルは全員を思い通りに動かせるから戦いやすい面はあります。でもどの試合でもやることが同じで、全試合同じ展開・同じパターンになり変化がありません。
でもひとりの選手だけ操作して遊べば、試合ごとにセンターバックを担当したり、ボランチを担当したり、ウイングを担当したり、試合毎に全然別の役割を要求され、いろいろな楽しさを味わうことが出来ます。
こうした多様なバリエーションがサッカーゲームを長く楽しむコツではないかと、れび丸は考えています。
FIFA17はこの「ひとりの選手だけ操作」で快適に遊ぶことが出来るので、それが一番素晴らしく思えました。
二番目に素晴らしいなと感じたのは、細かい難易度調整機能です。シュートの入りやすさや走る速さをスライドバーで細かく調節出来ます。
れび丸は点の取り合いになるような展開が好きなので、スライドバーでゴールキーパーを弱体化して、シュートミスのバーは最小にまで下げました。おかげで試合は乱打戦になり、3-2ぐらいで決着することが多いです。
あまり点が入りすぎるとサッカーぽくないのでしょうが、ゲームなのでまあいいかなと。
FIFA17は全体的に非常に完成度の高いゲームなのですが、いま挙げた2点はとくに感心しました。
反対に欠点に思えたのは表記について。選手名がすべてアルファベットです。外人選手はもちろん、Jリーグの日本人選手でさえアルファベット表記。斎藤はsaitoです。
国内版は日本人選手だけでも漢字表記にしてもらいたかったですね。アルファベット表記による読みにくさは慣れれば気にならなくなるけど、気分的に嫌です。日本人選手という特別感が出ないというか。
多少能力が劣っていてもあえて日本人選手をスカウトしてきてチームに加入させたりします。やはり日本人にとっては日本人選手って特別なんです。そうした感情をメーカーはわかっていないんでしょうね。
FIFA17のマイナス面はまあこのアルファベット表記ぐらいです。
本来ならば。
しかし冒頭でも言ったようにCPUがイカサマを使ってきます。もうこれが最大の欠点であり、ゲームそのものをぶち壊しています。
AIが優秀なのだからイカサマなんて使わなくていいと思うのですが。
イカサマで接戦になるように仕組まれているし、リーグ戦も首位を独走とかは出来にくくなっています。
自然に混戦になるなら面白いのでしょうが、イカサマで帳尻合わせをやられてもシラケるだけです。
どちらかに点が入ると、負けてるチームの方にイカサマが発動。妙に強くなります。妙にサッカーが上手くなるというか、急にサッカーが上達するというか。
このおかげで失点直後にすぐ追いつくという展開が非常に多いです。
例えば0-0の緊迫した展開が続き後半の終わり頃についに1点が入ったとします。均衡を破る待望の1点です。この1点を取るまでにシュートを10本以上打っています。
でも直後にイカサマが発動して、キックオフによる試合再開から2本ぐらいのパスであっさり相手チームがゴールを決めて同点に。
今までの緊迫した展開は何だったのだと言いたくなります。イカサマが発動すると為す術もないことも多く、本当にこちらが一度もボールに触られないままダイレクトパスをポンポンとつながれ、あっという間に点を取られてしまいます。
こうしたこともありFIFA17は引き分けに終わる試合が多いです。
ロスタイムに点が入ることも多いです。作った人はドラマチックだと思ったのでしょう。
キックオフ直後も開幕ゴールが決まりやすいです。盛り上がると思ったのでしょう。
こうした無用な白熱システムが逆にゲームを陳腐にしています。
とにかく違和感ありまくりのイカサマ白熱システム。これを脳内補完するのがかなり大変。
点を取った直後に3秒ぐらいで点を取り返されたりします。脳内では味方選手が油断したことにします。
毎試合のようにロスタイムに点が入るのもたまたまだろうと脳内で必死にごまかします。
リーグ戦よりカップ戦の方が4倍ぐらい敵が強くなるけど、これもスポンサーからボーナスが出ているのだろうと自分に言い聞かせます。
でもやはりさすがにどんなに頑張っても脳内補完が追いつきません。無理があります。
ゲーム制作会社が考えないといけないのは脳内補完の限界です。どこまでイカサマで白熱させても大丈夫か。どの程度ならユーザーは脳内補完でごまかしきれるか。
この塩梅を見誤ると最悪です。昔のイカサマ麻雀ゲームみたいに不自然な役満連発で興冷めという事態に。
FIFA17は結局この部分で失敗をしています。おそらく企画会議で出た白熱演出を全部ぶち込んでしまったのでしょう。
・キックオフ直後に点が入ると盛り上がるぞ。
・ロスタイムに点が決まるとドラマチック。
・点を取った直後に取り返されると壮絶な打ち合いな感じ。
・独走しないようリーグ戦の後半は敵を強くしよう。
・カップ戦は簡単に勝てないよう敵の強さを4倍に。
などなど、会議で出てきたアイデアを全部入れてしまった感じ。これリーダーの責任ですね。演出のイロハがわかっていないのでしょう。
アイデアというのはいっぱい出るものです。でも難しいのはそれをどうまとめるか。
TVドラマなどでも視聴者を感動させたり泣かせたいあまりに、主人公の友人とか恋人とかを安易に死なせます。そして実はふたりは血を分けた兄弟だったり、記憶喪失でピンチに陥ったり。
思いついたアイデアを安易に全部ぶち込むと物語は簡単に崩壊してしまいます。このへんはゲームも同じです。FIFA17はこの罠にハマってしまっています。リーダーに演出の才能がないのが原因です。
一番単純な解決策は、イカサマもスライドバーでユーザーが調整出来るようにすること。イカサマなんてない方がいい人はバーを最小にしたらいいし、イカサマありでも接戦になるのが好きならバーで高めに調節しておけばいいのです。
FIFA17は難易度をバーで細かく調整出来るのだから、イカサマも同じように調節可能にしておけばよかったのです。
そういう解決策が見えているのに、結局自分たちで考えた白熱の展開を強制的に押し付けてしまっています。
リードされているチームの方がイカサマで強くなるため、勝ってる方は試合の後半に入ると一方的に攻められっぱなしみたいな展開が多いです。
前半を終わった時点でスコアは4-0でこちらがリードという試合がありました。余裕の展開です。でも後半になると相手チームのギアが3段ぐらい上がりました。後半はそのチームに一方的に攻め込まれ、れび丸は手も足も出ませんでした。圧倒的な力の差を見せつけられた上で4-0で勝ったという不思議な試合でした。
FIFA17というサッカーゲームは大勝の試合ほど負けた気になるのが普通です。イカサマのせいで。つまり爽快感に欠けるのです。ゲームで遊ぶ上では非常に大事なポイントなんですけどね。
強いチームと弱いチームの区別がないというのも問題です。FCバルセロナやレアル・マドリードよりも、国内のカップ戦で対戦する2部チームの方が強いです。イカサマのせいで。
強い弱いは完全にイカサマ次第です。チームごとに強い弱いはほとんどありません。
どうせならバルサやレアルにはこてんぱんに叩きのめされたいですよね。その上でどうやったらあのバケモノみたいなチームに勝てるのかを考え、チームを補強していきたい。
そして5年後ぐらいに再びチャンピオンズリーグで対戦、みたいな展開になれば熱くこみ上げてくるものがあるはず。
でもそうはなりません。強い弱いはすべてイカサマにかかっています。
メッシのドリブルよりも降格が決っているザコチームの選手の方がすごいドリブル突破を見せたりします。イカサマが発動していれば。
FIFA17は非常に完成度の高いゲームだけど、イカサマという非常に単純で愚かな弱点を持っています。
でもこれ、スライドバーでユーザーが調整できるようにするだけで即解決できる問題です。そしていずれはこの方法を採用して来るでしょう。
制作チームのリーダーがいつこのことに気づくかですね。演出の才能がまったくない人のようなので、少し時間がかかる可能性もあります。
演出が全然わかってないなというのは、ゴールシーンのリプレイを見れば一目瞭然です。ゴールの迫力や美しさが全然リプレイ出来ていません。ドラマやストーリーを切り出す才能がまるでない人なのでしょう。